【書方箋 この本、効キマス スペシャルゲスト選集(2024年上半期②)】『停車場有情』『朝、空が見えます』『リンカンと奴隷解放』ほか
労働新聞で好評連載中の書評欄『書方箋――この本、効キマス』から、2024年4~6月に公開したスペシャルゲストのみなさまにご執筆いただいたコラムをまとめてご紹介します。
『停車場有情』 水上 勉 著/蜂谷 あす美(旅の文筆家)
3月16日、北陸新幹線の金沢~敦賀が開業し、私の故郷である福井が東京と一本で結ばれるようになった。合わせて同区間の在来線を走り続けた「しらさぎ号」「サンダーバード号」などの特急列車たちは終焉を迎え、運行最終日の3月15日夜には大勢の「ありがとう」に見送られながら、赤いテールランプとともに去っていった。
『朝、空が見えます』 東 直子 著/荻原 裕幸(歌人)
歌人であり小説家である東直子さんの、はじめての詩集となる『朝、空が見えます』がナナロク社から昨年末、刊行された。2017年の元日から大晦日までの、ツイッター(現X)上に投稿したことばから、日々の空の様子についての記述だけを抜き出し、詩として構成している。
『リンカンと奴隷解放』 浜田 冨士郎 著/大内 伸哉(神戸大学大学院教授)
2024年はアメリカ大統領選挙の年だ。アメリカは、日本でも、ニュースなどで報じられない日がないくらい身近な国だ。しかし私たちは本当のアメリカをどれだけ知っているだろうか。
『ヤクザの幹部をやめて、うどん店はじめました。』 廣末 登 著/コラアゲンはいごうまん(実録芸人)
僕は35年間、安定して地べたを這う無名芸人。かつての相方は蛍原徹。認知度面で、ホトちゃんに天文学的な差を付けられた僕が希望をもらった1冊が本書だった。
『奥州狼狩奉行始末』 東 圭一 著/神楽坂 淳(時代小説作家)
顕現である。少し古風な言い方になるが、印象としてはそうだ。小説にはいろいろあって、人物を描いたり、物語を紡いだり、さまざまな作家がいる。
『エッセンシャルワーカー 社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか』 田中 洋子 編著/鬼丸 朋子(中央大学教授)
コロナ禍で対面形式を前提とした社会経済活動に大きな制限が課されるなかで、取引先や顧客と対面で接する人々や、ものづくり、物流の最前線で働く人々など、いわゆるエッセンシャルワーカーが本当に欠くことのできない存在であることが再認識された。