【今週の労務書―2024年1~3月掲載記事を振り返る】
『労働新聞』で掲載している書評欄『労務書』から、2024年1~3月に公開したコラムをまとめてご紹介します。
『改訂版 成功する精神障害者雇用』
精神障害者の雇用に取り組む人事担当者向けの本書では、職場に定着させるための支援施策から、周囲の従業員をケアする方法まで解説している。実際に起こりがちな問題や失敗事例も複数盛り込み、ケーススタディー方式で紹介している。
『Q&A 誰が労働法で保護されるのか?』
DXの進展とともに、フードデリバリーサービスの配達員のような請負・委任の契約の形を取ったフリーランスが急拡大するなか、労働者性が争点となるケースが増えている。
『スタートアップのための人事制度の作り方』
本書ではスタートアップ企業を、「社会的な常識や慣習をより良い方向へ導くことなどを理念に掲げる急成長企業」と定義する。人事制度の導入によって得られる効果として、メンバーやマネージャーが経営陣の掲げるビジョンやミッションを意識するようになる点を挙げている。
『フリーランスの働き方と法』
700ページを超える大著。第1部ではフリーランスの働き方の実態と法政策の現状、第2部では個別の論点を深掘りし、今後の法政策や法解釈のあり方を考察している。
『図解 人的資本経営』
本書は、人的資本経営の実践に取り組む企業に向けて、具体的な手順を解説したもの。副題は「50の問いに答えるだけで『理想の組織』が実現できる」。「ありたい人と組織の姿はどのようなものか」、「どのように人材を調達・育成・活躍・維持するか」といった問いを用意し、具体策を提案している。
『悩める上司・人事担当者のための問題社員未満との付き合い方』
「問題社員“未満”」とは、解雇や懲戒に至るような問題はないが、組織や周囲の時間や感情を浪費させるような社員のこと。大事に至るまでトラブルを報告してこない社員や、上司からの評価に反抗する社員などが当てはまる。
『企業ではたらく20人の女性リーダー』
本書は、大手企業で管理職や役員を務める女性リーダー20人へのインタビューをまとめている。同時に、所属企業の女性活躍推進に関する取組みも紹介しており、女性リーダーの育成・登用へのヒントのほか、資質のある人材の特徴を知ることができる。
『就業規則の法律相談Ⅰ・Ⅱ』
経営側弁護士らが、就業規則の作成や運用における要点を解説した。見落としや誤解をしがちな事項を中心に、Q&A形式で82のケースを説明。120余りの規定例も掲載した。
『はたらくみんなのニューロダイバーシティ 対話からはじまる「発達特性」あふれる組織改革論』
本書は、キャリアコンサルタントが執筆したもの。著者によれば、ニューロダイバーシティとは、マネジメントにおける発想方法の1つ。個々人の脳や神経の違いを多様性と受け入れて、広く人材を活用することで、イノベーションへとつながっていく。
『静かに退職する若者たち』
副題は「部下との1on1の前に知っておいてほしいこと」。101人の若手社員および人事担当者を対象に実施したヒアリング調査をもとに、若者の目線と立場から、早期退職やマネジメントのあり方などを論じている。
『建設業界の仕組みと労務管理』
社会保険労務士の立場で建設業にかかわる筆者が、業界の全体像から特有の労務問題、適切な保険加入、働き方改革の進め方などを解説した。労務管理に当たっては、重層下請構造になっていること、一人親方の存在により、雇用と請負の区別が曖昧になっていること、派遣禁止業務があることなどに留意する必要があると指摘した。