労務管理支援の必要性/藤井洋社会保険労務士事務所 藤井 洋
私は二十数年を食品製造業の会社員として過ごした後、社会保険労務士として独立開業した。労働法や社会保険などの勉強を始めたのも40歳を過ぎてからで、それまでは法律の分野についてはまったくの門外漢であった。会社員時代に、月の時間外労働が80時間近くなり、当時の上司から、今月はこれ以上残業をしないように指導されたものの、何が悪いのか理由がさっぱり分からなかった。すなわち「36協定の特別条項の上限時間」なるものの存在も、まったく理解せずに働いていた体たらくであったわけである。
現在、企業が向き合わなければならない労務管理上の課題は、多種多様にわたっている。まず、基本である労働時間の管理が挙げられる。長時間労働の削減や年次有給休暇取得の促進は、労働者の健康管理と安全確保、生産性向上に直結するものである。
複数の形態の労働者を雇用している場合は、同一労働同一賃金への対応が求められる。
産前産後休業、育児休業、介護休業のほか、各種休暇、短時間勤務、所定外労働免除など一時的にフルタイムでは働けない労働者への配慮は、育児介護休業法などの法改正の度に強化されている。
新型コロナウイルス感染症への対応を契機にテレワークが普及したことに伴い、多様な働き方への対応も課題となっており、在宅勤務の環境整備や労働時間の柔軟性の確保を進める必要がある。一方で、ワーク・ライフ・バランスを推進することも、従業員満足度を高めるために不可欠である。
ハラスメント対策も必須である。職場内でのセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント、育児介護休業などに関するハラスメントへの防止措置が義務付けられており、これらに加えてカスタマーハラスメントへの対策も急務となっている。
ダイバーシティ推進も令和の時代には不可欠な要素といえる。性別や年齢、国籍などにかかわらず、多種多様な人材を雇用して包括的な職場環境を作ることには、企業の競争力および外部環境の変化への対応力を高める効果が期待できる。
これら労務管理上の課題について、社会的な関心は高まっており、かつての(会社員時代の)私のようなお粗末な知識しか持ち合わせていない企業・経営者は、決して多くはないと思う。しかしながら、本業での競争に打ち勝ちながら、上記の課題を企業単体の力だけでクリアすることは、非常に困難である。微力ながら社会保険労務士として、労務管理の支援を通じて、企業の発展に貢献したいと考えている。
藤井洋社会保険労務士事務所 藤井 洋【千葉】
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