【主張】お祝い金規制強化は当然

2024.08.22 【主張】
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 厚生労働省は、職業安定法に基づく指針で禁止する求職者への「就職お祝い金」の支給が後を絶たないことから、職業紹介事業者に対する規制を強化する方針を打ち出した(関連記事お祝い金禁止 紹介事業の許可条件に 違反なら取消処分も 厚労省)。お祝い金を支給しないことを事業許可条件に加え、違反を繰り返した事業者の許可を取り消せるようにする。

 求職者に対してお祝い金の支給を持ち掛けて求職の申込みを勧奨する行為は、短期的な転職を促し、雇用の安定を阻害する。さらに、その原資は求人企業の手数料の一部であることから、求人企業の経営の圧迫にもつながる。指針で禁止されているにもかかわらず違反が散見される現状からすれば、抑止力を高めるための規制強化は当然だろう。

 現在はお祝い金が禁止されていない求人メディアなど募集情報等提供事業者についても、新たに指針で禁止する方向だ。求人サイトの利用企業などから、都道府県労働局にお祝い金に関する相談が多く寄せられていた。

 厚労省が明らかにした令和5年2月~6年6月の相談事例をみると、「ある事業者は自社の募集サイトを通じた就職決定者にお祝い金を支払っている。求人企業が採用後に支払う手数料にお祝い金を上乗せしており、手数料が高すぎる」、「募集サイトで介護職の募集をかけている。事業者が応募者に対してお祝い金を支払っているが、意識の低い応募者がすぐに退職してしまうため、事業者への手数料が経営の負担になっている」と、経営への悪影響を指摘する声が少なくない。

 また、「薬局を経営しているが、お祝い金目当ての薬剤師の転職者が増え、人材確保と採用コストに苦しんでいる。お祝い金による転職の撲滅に努めてほしい」や、「ある事業者の募集サイトでお祝い金と思われる表示が多数あるが、行政指導をすべきでは」など、指導や規制の強化を求める意見もめだつ。

 たとえ募集情報等提供事業であっても、一時的な金銭提供によって早期転職を促し、需給調整機能を歪めている状況には変わりがない。お祝い金ではなく、魅力的な労働条件の提示によって人材確保が進むことを期待したい。

令和6年8月26日第3462号2面 掲載
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