【ひのみやぐら】高齢ドライバーの安全対策を

2024.08.27 【ひのみやぐら】
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 運送業のドライバー不足が深刻だ。ネット通販が全盛で宅配個数が増加しているのに対して、ドライバーの人数が追いついていない。さまざまな職業があるなか、長時間労働であるわりには、決して賃金が高いとはいえず、若者が定着しにくい原因になっている。

 人手不足解消として女性の進出が期待されているが、運送業では遅れているのが現状だ。勤務先での更衣室やトイレの問題、妊娠や出産に伴った育児休業や再雇用制度の未整備、重量物運搬などの体力的な負担があり、職場が女性にとって働きやすい環境に整えられているとは言い難い。

 運送業のドライバーは道を覚えたり、運転技術が求められたりと経験や技が求められる。さらに積載量の大きいトラックの場合は大型免許が必要になり、長年業界に携わってきたベテランに頼らざるを得ないのが実情だ。その熟達したベテランも人間である以上、年を取る。トラックドライバーの高齢者対策は、世代交代が進まない限り、避けては通れない問題といえよう。

 ドライバー不足解消のカギである高齢者の活用だが、長く働き続けてもらうためには、加齢に伴う安全面、健康管理面の対策が重要になる。心身機能の衰えは、個人によって差が大きいため、個々の能力・適性に応じた負荷の低減を行う配慮が必要だ。(公社)全日本トラック協会が発表している「トラック運送事業高齢者雇用推進の手引き」によると、心身機能の変化を踏まえた健康管理の強化が重要としている。例えば、老眼や動体視力の低下など加齢の影響が視力に表れる。メーター類やカーナビの文字が見えにくくなるので、検査を受け適正な眼鏡をかけさせるよう求めている。

 腰痛で悩むドライバーも少なくない。股関節機能の低下で転倒、墜落がしやすくなるので、荷役作業では重量物を確認し無理をさせないようにするなど配慮をするとした。運転中に一時的な睡眠状態に陥らないよう疲労回復を図ることなども大切としている。

 長期的な労働条件改善が必要ではあるものの、現状の逼迫した人手不足対応としては高齢ドライバーの安全対策は避けては通れないだろう。

2024年9月1日第2457号 掲載
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