【安全衛生・お薦めの一冊】『元請社員と職長のための手すり先行システム足場 点検マニュアル』
2024.08.27
【書評】
点検の目的十分に理解を
労働安全衛生規則の改正により足場からの墜落防止措置が強化された。足場の点検時に点検者を指名し、その氏名を記録・保存することが義務付けられ、一側足場の使用範囲が明確になった。本書は、(一社)仮設工業会が承認している「手すり先行システム足場」の点検基準、災害事例などを盛り込んだ手引き。令和5年の安衛則改正に対応している。
足場点検のポイントでは、一つ目に「構造物として安定であり、倒壊することがないこと」、二つ目に「墜落災害、飛来落下災害が発生しないこと」を挙げたうえで、何のために点検をしているのか、点検の目的を十分に理解しておくことが大切とした。
災害事例も作業状況別に6つ収録。例えば、外壁改修塗装工事で、被災者が外部足場2層目作業床上(高さ2.73m)において、養生シートをかがんだ姿勢で片づけていた際に約3m下のコンクリート床に墜落した災害では、主な安全対策として、作業床と高さ94cmの手すりの間に中さんなどを設置することなどを示した。
(仮設工業会編 刊、TEL:03-3455-0448、A4判、64ページ、税込600円)
2024年9月1日第2457号 掲載