「Z世代」のつぶやき/笹井社会保険労務士事務所 副代表 笹井 健司
「最近の若者は…」という話は昔から語られてきた。古くは古代ギリシャの哲学者プラトンも、この決まり文句で当時の若者の振る舞いを批判していたという。
一方、若者は年配者の意見を受け入れられず「老害」と非難する。世代交代とともに価値観や行動様式が変化するのは当然のことだが、ついつい自分の育ってきた時代と比較して、理解できないものを否定的に捉えることが繰り返されてしまっているようである。
私は、1998年生まれのZ世代である。はっきりとした定義はないが、Z世代は1990年代後半~2010年代前半に生まれた世代を指すことが多いようだ。
この世代は、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災やコロナ禍など、幼少期から青年期にかけて大きな社会・経済環境の変化に直面してきた。
ひとたび大企業に入社してしまえば定年まで一生安泰といわれていた時代はとっくに過ぎ去り、自分でスキルを身に着けてキャリア形成をしなければ生き残れない時代となった。1社にしがみつこうとせず、身に着けたスキルを活かして転職するのが常識となっている。「ゆるブラック」というワードにも象徴されるように、Z世代は「スキルアップができない」、「仕事にやりがいを感じられない」企業を敬遠する傾向にある。
とある調査では、Z世代の8割が「ある程度拘束されても、手取り足取り仕事を教えてほしい」と回答している。このことから、Z世代の育成には上司が若手社員と一緒になって丁寧に課題に取り組むことが必要であることが分かる。
しかしながら、熱心に指導し過ぎると、Z世代は一方的に押し付けられたと感じ、「もう大丈夫です」と拒否反応を示すこともある。
ここまで読むと、なんて面倒な世代だと思われる方も少なくないだろう。Z世代の筆者としても、個々の性格や価値観の違いから同世代と対話がかみ合わないことがしばしばある。ましてや世代間のギャップがあればなおさらだ。とはいえ、個別に丁寧に対話をすることを互いに心掛ければ距離は縮まっていくのではないか。
Z世代は「やる気」や「自分の力で仕事をやり遂げたい」という気持ちは人一倍持っている。だからこそ、失敗したときの挫折感を強く感じてしまう。育成のポイントは、子どもに自転車の乗り方を教えるように最初は後ろから支えて押し出してやること。自分で走り出すまで軽く手を添え、優しく声を掛けながら、励ましてやってほしい。
笹井社会保険労務士事務所 副代表 笹井 健司【岡山】
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