【主張】流出先も激しい男女格差

2024.09.19 【主張】
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 若年女性の人口流出が進む東北、北関東、甲信越では、未婚男性の比率が高い……。政府の「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」で今年5月、内閣府からそんなデータが報告された。20~34歳の未婚者についてみると、一部の地域では男女比の不均衡が存在する。女性の数を1とした場合に男性の数が1.2を上回る地域は23県あり、うち7県では1.3を上回っているという。

 2割や3割の差がどれほどの問題なのかよく分からないが、「未婚者の男女比の不均衡と各地域における男女間賃金格差の間には、緩やかな相関関係が観察される」とまで指摘されては、穏やかではいられない。仮説を立てるのは結構だが、「女性も地元に残るべき(あるいは男性も同じくらい流出すべき?)」と言わんばかりの発想は、ダイバーシティに適うものなのか。

 一方、最新の第6回会合では、厚生労働者が都道府県別の女性の就業状況等に関する資料を提出した。それによれば、全国平均の男女間賃金格差は74.8(男性=100とした場合の女性の水準)。都道府県別にみると最も格差が小さいのは高知の80.4で、最も大きいのは栃木の71.0となっている。つまり、47都道府県の格差はせいぜい±5ポイントの差に収まっているのだが、これが果たして女性の県外流出にどれだけ寄与するものなのだろうか。

 地方ではより仕事や職務の種類は限られるし、職業が居住地を決定する唯一の要因というわけでもない。むしろ、早く結婚して地元に残ってほしい――そんな家族や周囲からの期待感、あるいは無言の圧力が、居心地の悪さを決定付けているのではないか。

 ちなみに東京の男女間賃金格差は73.0で、全国でも4番目に激しい。愛知は73.2で5番目だし、大阪は75.5で12番目、神奈川は75.7で14番目だ。この結果を素直に受け取るなら、多くの女性はわざわざ地元より男女格差の激しい地域に移り住んでいることになる。女性の平均賃金を比べれば確かに地方より都市部が上回るだろうが、仮にそれが原因なら問題は男女格差より地域格差にあろう。

令和6年9月23日第3466号2面 掲載
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