【主張】公表義務課し時間外削減

2024.10.03 【主張】
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 “最長”労働時間規制などを巡り、厚生労働省が今年1月に設置した労働基準関係法制研究会で議論が続いている。

 労働法学者ら構成員からは、働き方改革関連法により導入された罰則付き時間外・休日労働の上限規制について、特別条項を定めた場合の時間外の上限を月45時間・年360時間の原則的上限に近付けていくべきとの意見が挙がっている。ただ、罰則付きの上限を短期間で著しく引き下げるのは事業運営に与える影響が大きい。むしろ労働基準法の規制によって長時間労働を抑制するのと併せて情報公表義務を課すなどして、人材獲得に向けた企業間競争のなかで、自発的な時間外労働削減を促すのが望ましいだろう。

 労働時間関係については現在、女性活躍推進法や次世代育成支援対策推進法、若者雇用促進法において、企業における情報開示の仕組みを定めている。ただし、義務の程度(公表義務・努力義務)や対象とする企業規模などは法律によって異なる。

 たとえば女性活躍推進法では、常時雇用労働者101人以上の事業主に公表義務を課しており、公表項目の選択肢の1つとして、「労働者1カ月当たりの平均残業時間」や「雇用管理区分ごとの労働者1カ月当たりの平均残業時間」を挙げている。若者雇用促進法では、新卒者の募集企業などに対し、「直近事業年度における労働者1人当たりの1カ月平均の所定外労働時間」について、公表を努力義務としている。

 多くの企業で時間外労働の実績が公表されれば、時間外労働の少ない働き方を希望する労働者・学生は長時間労働の企業への転職・就職を避けるようになることから、入社後のミスマッチ防止が期待できる。時間外労働の削減に積極的に取り組んできた企業にとっては、長期にわたって安定して人材を確保し、定着させることができるといったメリットも見込まれる。

 労働政策として長時間労働の防止をめざすのであれは、対象企業の範囲を広げるなど、公表義務を強化するのが効果的だろう。

令和6年10月7日第3467号2面 掲載
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