【ひのみやぐら】体力の維持へ筋トレはいかが
高年齢労働者の災害に多い転倒災害や腰痛を防ぐには、まずは段差をなくす、手すりを設置する、「見える化」を図るなどのハード面での改善が重要になる。次いで、不自然な姿勢にならないための作業方法の改善、適正な配置や適度な休憩・休日の配慮などソフト面の対策となる。
さらに大切なのは、高年齢労働者自身が自分の健康を維持するために努力し、積極的に取り組むことだ。健康管理はもちろん、基礎的な体力維持の必要性はエイジフレンドリーガイドラインにも盛り込まれている。
労働災害を未然に防ぐため、体力つくりが不可欠なのはいうまでもない。とくに高齢者は加齢により、骨や筋肉などの運動機能が低下するロコモティブシンドローム、フレイルといった症状が現れる。加齢による体力低下を防ぐためにも運動に無理のない範囲で筋力トレーニングを取り入れたいところだ。
厚生労働省が示している「成人を対象にした運動プログラム」には、筋トレの具体的な取組み方が紹介されている。有酸素運動と合わせて行うと効果的としており、胸・背中・下肢といった大きな筋群をまんべんなく実施するとした。
例えば、胸を鍛えるためにはダンベルを持って両腕を外側に開く、背中の場合は、膝を曲げて腰を落とした状態でダンベルを持ち上げる、下肢ではダンベルを持ちスクワットをする、といった具合だ。運動器具は持ち上げられる最大の力の60~80%の重さで、8~12回を2~4セット、週2~3回行うとしている。久しぶりに運動に取り組む人は、短い時間から始め徐々に延ばしていくとよいとした。
体力つくりのための運動は、一人でもできるが、きっかけがないとなかなか始めにくいものだ。ここは会社を挙げて取り組むとよいだろう。従業員が皆と一緒になって行うからこそ、連帯感や逆に同僚との競争が高まり、健康意識の向上が期待できると考える。
筋量を増加し、高めることは、心身機能に好影響をもたらし、心血管系疾患の予防にもつながるという。労働災害の未然予防へ筋トレに取り組むのはいかが。