【主張】労働衛生意識向上が課題

2024.10.24 【主張】
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 厚生労働省の有識者検討会は、ストレスチェックの実施義務対象を労働者50人未満の事業場まで拡大するとした中間取りまとめ案に大筋で合意した。

 ストレスチェックはメンタルヘルス不調の未然防止に一定の効果がある一方で、産業医や衛生委員会の選任・設置義務がない50人未満事業場で実施を推し進めるには、事業場内の労働衛生意識の向上が欠かせない。加えて、高ストレス者からの申出に基づく医師の面接指導を確実に行えるよう、地域産業保健センター(地産保)による支援体制をさらに充実させる必要があろう。

 50人以上事業場に実施義務があるストレスチェックは、労働者の心理的な負担の程度を把握するために年1回、医師・保健師などが行うもの。労働安全衛生法では、高ストレス者と判断された労働者から申出があった場合、医師の面接指導を実施するよう事業者に義務付けている。厚労省の集計によると、ストレスチェックを実施している事業場割合は50人以上規模でも未だ84.7%に留まっており、実施が努力義務となっている50人未満規模では32.3%に過ぎない。

 有識者検討会の中間取りまとめ案では、メンタルヘルス不調を未然に防止することの重要性は事業場規模にかかわらないと指摘。外部機関を活用すれば労働者のプライバシーも保護できるとみて、「ストレスチェックの実施義務対象を50人未満のすべての事業場に拡大することが適当」とした。

 ただ、50人以上規模に対して罰則付きで課しているチェック結果の労働基準監督署への報告義務までは、課さない方向だ。産業医がいない、衛生委員会も設置していない事業場においては、一般的に産業保健や労働衛生への意識が高いとはいえない。そうしたなかで実施率向上を図るのであれば、メンタルヘルスを含めて労働衛生全般への意識を高めるための施策が欠かせないだろう。ストレスチェックの実施手順のみならず、取組みの重要性を理解してもらうための周知活動の強化が求められる。

令和6年10月28日第3470号2面 掲載
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