【今週の労務書】『詳解 裁量労働制』
2024.11.09
【書評】
適用者でも時間管理を
本書は、今年4月の制度改正も含め、裁量労働制の制度趣旨、改正経緯、導入例、裁判例、学説、行政解釈などを網羅的に盛り込んで解説した。厚生労働省で法令・政策の企画立案担当として裁量労働制の改正に携わった経験を持つ弁護士や、元労働基準監督官の弁護士で構成されるTMI総合法律事務所の労働法プラクティスグループがまとめている。
労働基準監督官から、指導票の交付による指導が想定される事項については、「健康・福祉確保措置が適切に実施されていないこと」を挙げている。健康障害が労災や安全配慮義務違反と認定され得ることから、裁量労働適用者であっても、実際の労働時間を把握し、長時間労働があれば是正に向けた対応を行う必要があるとした。
(近藤 圭介、益原 大亮 編著、中央経済社 刊、税込3960円、TEL:03-3293-3381)
令和6年11月11日第3472号16面 掲載