【主張】ながらスマホ禁止規定を
道路交通法の改正により、11月から自転車の危険な運転に対する新たな罰則が整備された。携帯電話等を使用する「ながらスマホ」の罰則が強化され、「酒気帯び運転」が新たに罰則の対象となっている。従業員に自転車での通勤を認めている場合、改めて注意を喚起し、社内ルールについても確認したい。
これまで「5万円以下の罰金」とされてきたながらスマホに対する罰則は、違反した場合に「6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金」、事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合には「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」と強化された。酒気帯び運転については、運転者・車両提供者に「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」などが科される。不届き者が警察のご厄介になれば、社名とともに報道されることもあるかもしれない。
自転車による通勤は、コロナ禍で満員電車を避ける手段として注目され、その際に制度化を図った企業も少なくない。ITベンチャーなどでは職場の近隣に住むことを推奨し、該当者に特別な手当を支給している例もみられる。
一方でスマートフォンなどの携帯端末については、テレワークやeラーニングの普及に伴い、従業員へ貸与することが珍しくなくなった。従業員が取引先や上司からの着信に応じて業務上でながらスマホをし、事故の当事者になるケースも想定される。
たとえば、当人が加害者として損害賠償を請求された場合、使用者責任を問われるのかどうか――。企業としてはもしもの場合に備え、あらかじめ禁止規定を設け、誓約をとりたい。国土交通省では「自転車通勤導入に関する手引き」を策定しており、併せて自転車通勤規定および許可申請書兼誓約書の様式もホームページで公開している。
令和6年の警察白書によると、昨年の自転車関連交通事故は約7万2000件に上り、3年連続で増加した。交通事故全体に占める割合も上昇傾向にあり、過去20年で最高の23.5%に達した。多くが近隣在住者であるパートタイマーらも含め、自転車通勤者の管理を徹底したい。