【主張】フレックス活用の優先を

2024.11.21 【主張】
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 労働基準法改正に向けた検討を行っている厚生労働省の有識者研究会は、報告書骨子案を明らかにした(=関連記事)。テレワークに適用できる柔軟な労働時間管理方法として、フレックスタイム制への「コアデイ(特定の日の始業・終業時刻を使用者が決定できる制度)」導入や、テレワークに特化したみなし労働時間制を盛り込んだ。ただ、テレワークで働いた時間を「所定労働時間働いたものとみなす」後者では、みなし時間と実際の労働時間が乖離し、長時間労働を招く恐れもある。実労働時間で管理するフレックス制の使い勝手を高めることが先決だ。

 総務省の通信利用動向調査によると、2023年における民間企業のテレワーク実施率は49.9%に上る。一方で在宅勤務は、労働時間と家事・育児など労働以外に費やす時間が近接しているため、私的な都合による「中抜け」が細切れに発生するほか、厳密に労働時間を把握するのが困難といった課題がある。

 フレックス制を利用すれば中抜けに対応できるが、同制度では労働者が自ら清算期間内の各労働日の始業・終業時刻、労働時間を決めることが前提になる。そのため、1週のうち3日(テレワーク日)について労働者が始業・終業時刻と中抜け時間などを決めて働き、残りの2日(出社日)は使用者の指示で定時勤務するといった柔軟な運用ができない。厚労省の調査によると、フレックス制を導入する企業の約半数が、通常勤務日(定時勤務)を組み込める制度が必要と考えている。

 こうした状況も踏まえ、報告書の骨子案では、フレックス制への「コアデイ」の導入を提案した。オフィスへの出社日は定時勤務、テレワーク時は中抜けに対応できるフレックス勤務といった運用が可能になるため、企業にとって利便性が高まる。

 他方、テレワークに特化したみなし労働時間制は、みなされた時間内で処理できない量の業務を使用者が指示する恐れもあり、健康確保の面で検討すべき課題が多い。骨子案でも「中長期的な検討が必要」としている。まずは、フレックス制の柔軟化を実現してほしい。

令和6年11月25日第3474号2面 掲載
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