【主張】勤務間休息制に柔軟性を

2024.12.19 【主張】
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 終業から次の始業まで一定の休息時間を確保する勤務間インターバル制度について今後、法規制の強化に向けた検討が進みそうだ。労働基準法などの見直しを議論してきた有識者研究会の報告書案に、義務化を視野に入れた法規制の強化が盛り込まれた(=関連記事)。

 脳・心臓疾患による過労死等事案において、インターバルの短い勤務が認められるケースが少なくないことを踏まえると、法規制の強化には一理ある。ただ、業務の性質などを全く考慮せず、一律に11時間確保の厳守を求めるのは現実的ではない。例外的に一部の業種・職種でインターバルを短く設定できるようにしたり、インターバルが確保できなかった場合に代替措置による対応を認めたりするような制度設計が求められよう。

 勤務間インターバルは、働き方改革関連法に基づいて改正された労働時間等設定改善法において、事業主の努力義務として規定された。平成31年4月の施行以降、厚生労働省は業種ごとの導入・運用マニュアルなどを通じて普及を図ってきたものの、4年近く経過した令和5年1月時点で、企業における導入割合は前年同期比0.2ポイント増の6.0%に留まっている。

 4年3月末までの脳・心臓疾患の労災認定事案を分析した6年版過労死等防止対策白書によれば、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化した認定基準改正(3年9月)以降の事案(97件)のうち、約25%で「勤務間インターバルの短い勤務」が確認されている。過労死等を防ぐためにも、インターバル確保に向けた取組みの強化が重要なのは論を俟たない。

 フランスやドイツ、イギリスなど諸外国に目を向けると、11時間以上のインターバル確保を企業に義務付けているケースが多い。一方で、緊急の業務や、サービス・生産活動に連続性を要する職種・業種に従事する場合など、業務の性質や職種・業種によっては、労働協約に基づいて適用を除外できる仕組みなどを運用している。

 日本で義務化を進める場合も、あまり硬直的な制度にならないよう求めたい。

令和6年12月23日第3478号2面 掲載
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