【ひのみやぐら】年始の「ぼんやり」に注意を
年末年始はヒューマンエラーによる労働災害を起こしやすい。年末は納期などに間に合わせるため「焦り」や「慌て」が原因となるが、年始は休み明けによる、「うっかり」「ぼんやり」といった意識の低下が大きい。とくに今年はカレンダーの並びが絶好で、12月28日から1月5日まで9連休となっている企業も少なくないのではなかろうか。
長期休暇が終わっても、営業日ならば普通に仕事をしなければならないが、初日は体が重かったり、ぼんやりとしている人もいるだろう。誰もがすぐにエンジンをかけられるわけではない。長く業務から離れると「作業手順を忘れてしまった」「操作を間違った」ことにより、労働災害の発生リスクが高くなる。
人間の意識を5段階に分けた「フェーズ理論」では、正常に脳が動いている状態が「フェーズⅢ」となる。休み明けの初日の場合「フェーズⅡ」であることが多いのではなかろうか。フェーズⅡは意識は正常ではあるが、なんとなくやる気が出ず、ぼんやりとしている状態である。危険な作業があるときは、緊張を与えて、意識を「フェーズⅢ」に引き上げねばならない。
具体的な方法として有効なのは、指差し呼称やKYだ。とくに指差し呼称は、安全の確認だけが目的ではなく、頭のなかの意識をはっきりさせて、ミスや不注意を防ぐ狙いもある。対象物を指で差し、ハッキリと声を出すことで、脳を活性化させることができるのは、いうまでもない。
現地KYもしくは一人KYを実施する際は、自問自答をしてから指差し呼称をすると危険や不具合を見落とすリスクが少なくなる。始業前や作業開始前にKYを行うことで、意識をクリアにしておきたい。
また、作業標準書の確認も重要だ。管理者は、労働者が作業標準書どおりに作業しているかチェックする。もし、正しく行っていなかった場合は、その場で指導する必要がある。
誰でも年の始めから労働災害やトラブルを起こしたくないもの。始め良ければ終わりよし――。1年を無事に乗り切るには、順調なスタートを切ることが肝要だ。