【書方箋 この本、効キマス スペシャルゲスト選集(2024年下半期①)】『電車たちの「第二の人生」』『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』『賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛』ほか
労働新聞で好評連載中の書評欄『書方箋 この本、効キマス』から、2024年7~9月に公開したスペシャルゲストのみなさまによるコラムをまとめてご紹介します。
『ウドウロク』 有働 由美子 著/影山 貴彦
1991年に入局後、NHKアナウンサーとして27年の長きにわたって活躍した後にフリーに転身、2018年秋から今年の春まで日本テレビ系の看板番組『news zero』のメインキャスターとして活躍し、現在は俳優の松下洸平とともに、同じく日本テレビ系の音楽番組『with MUSIC』の司会を務めている有働由美子。…
『電車たちの「第二の人生」』 梅原 淳 著/内田 賢
地方の中小私鉄ホームに見覚えのある電車がたたずんでいることがある。かつて関東や関西の大手私鉄で走っていた電車だ。本書はこのように新天地で活躍することとなった電車たちのドラマである。…
『涼音とあずさのおつまみごはん』 内田 健 著/神楽坂 淳
家飲みの小説である。それ以外のなにものでもない。特別な能力があるわけでもないし、特別な人間でもないふたりの小説である。どこにでもある普通の幸せ。そこがこの小説の良い部分である。…
『家から5分の旅館に泊まる』 スズキ ナオ 著/せきしろ
私がまだ幼かった頃、夏休みや冬休みになると祖父母が住む町まで親と車で行くのが常だった。途中旅館が1軒あり、私はそこを通るたびに「自分はいつかあの旅館に泊まる時が来るのだろうか?」と考えていた。…
『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』 今村 翔吾 著/林家 けい木
文字を読むのは好きだが、いわゆる「本好き」に比べれば足元にも及ばない。コロナ禍は我われ落語家にも影響を与えた。寄席は閉鎖、落語会は中止、対面稽古さえ憚られる。その結果、私は座布団に座ることを諦め、サドルに跨って都内のあらゆる処へ食べ物を運んだ。…
『賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛』 濱口 桂一郎 著/金子 良事
『賃金とは何か』が岸田文雄総理の退陣に間に合った。流行りのジョブ型雇用の言葉の生みの親で知られる著者の最新刊である。「ジョブ型雇用」は著者の意図せざるところで展開してしまった感もあるが、「メンバーシップ型雇用」とともに人口に膾炙しやすかったこともたしかである。…