問題解決の糸口提示へ/ささき社会保険労務士事務所 代表 佐々木 直美

2025.01.12 【社労士プラザ】
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ささき社会保険労務士事務所 代表 佐々木 直美 氏

 平成17年の開業当時、相談の多くは労働基準法違反に関するものだった。その後、労働契約法が平成20年3月に施行され、順次改正が行われてきた。

 現行法は令和2年4月に施行されたもので、相談内容もそれに伴い、解雇や人員整理、雇止めなどの「労働契約終了」から「労働条件、就業環境」へと変化した。リーマン・ショックを境に、労働契約が労使双方にとって明確かどうか、労働条件の明示が行われ、互いに納得した内容になっているかどうか、また、労働条件の変更や労働環境整備の問題に関する相談の比率が高まった。

 労契法以外にも多くの法律の制定や改正が行われ、その多くが民事での争いとなり得るものだった。たとえば、ハラスメント関連法への対応、育児や介護の問題、雇用継続のための労働環境整備など、企業において検討しなければならない問題が次々と発生した。

 それらに対応し、「良い環境で良い仕事ができる環境づくり」をすることは会社の義務であり、その支援をするのが社労士であると考えている。社労士は、就業規則などの会社のルールづくり、給与体系や苦情窓口の設定など、労働環境整備に向けて、会社に寄り添いながら、法律や慣習、社会情勢を踏まえ検討していくのである。

 会社は、方針や目的を掲げ、企業努力をしていくものである。経営者は計画を立てて目的の達成へ尽力するが、計画の実現を実際に行っていくのは労働者である。会社において能力を最大限に発揮できる環境を整備し、適切な労働条件を設定することで、労働者は安心して業務に専念できる。

 年功序列・終身雇用制度が当たり前の時代は一律の条件で良かったかもしれないが、現在は、能力・経歴・技術に応じた条件の提示が必要である。個々の生活スタイルを考慮した対応も欠かせない。会社として納得できる選択肢や条件を提示し、合意を得ることが重要である。

 労使が納得して会社の目標に向かうことができる体制づくりが大切となるが、たとえ慎重に決定したものであっても、認識の相違や合意内容の齟齬などによるトラブルは起こり得る。しかし、目標達成のために費やすべき労働時間を、トラブル対応に奪われるのは無意味であり、社労士として、当事者間の摩擦や抵抗ができる限り小さくなるように支援していくことが大事と考える。常にさまざまな問題に対して解決の糸口の提示、選択肢の提案が適切に行えるよう、日々精進していきたい。

ささき社会保険労務士事務所 代表 佐々木 直美【広島】

【公式webサイトはこちら】
https://sasaki-lassa.jp/index.html

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令和7年1月13日第3480号10面 掲載
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