【主張】カスハラ定義の理解重要

2025.01.16 【主張】
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 労働政策審議会は昨年末、職場のハラスメント防止対策の強化などに関する報告書をまとめ、カスタマーハラスメント対策を事業主の措置義務とするのが適当と建議した。

 カスハラの定義については、①顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う、②社会通念上相当な範囲を超えた言動、③労働者の就業環境が害される――を満たしたものとし、詳細は指針で示すとしている。顧客などのクレームすべてがカスハラに該当するわけではないため、企業が適切な対策を講じるには、とくに、「社会通念上相当な範囲を超えた言動」がどういったものかを理解することが欠かせない。指針では可能な限り詳しい具体例を提示してほしい。

 企業が正当なクレームとカスハラ行為を線引きするうえで、現時点では、東京都のガイドライン(本号4面参照)が参考になる。カスハラを受けた就業者の安全確保などを事業主の努力義務とする条例の施行に先立ち、策定したもの。令和4年に厚労省が作成した対策マニュアルを踏まえ、カスハラ行為を分類するとともに、それぞれ具体例を示している。

 同ガイドラインでは、カスハラ行為を「就業者への身体的な攻撃」、「精神的な攻撃」、「拘束する行動」、「威圧的な言動」、「執拗な言動」、「過度な商品交換の要求」など15分類に整理し、計31例を提示。たとえば要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして不相当または違法な「威圧的な言動」に当たる例として、「就業者の話を遮るなど高圧的に自らの要求を主張すること」、「声を荒らげる、にらむ、話しながら物を叩くなどの言動を行う」などを盛り込んだ。

 労政審の建議では、カスハラの要件の1つである「社会通念上相当な範囲を超えた言動」について、「社会通念に照らし、顧客等の言動が契約内容からして相当性を欠くもの、または、手段・態様が相当でないもの」とするに留まる。法改正による防止対策の義務化までに、少なくとも都のガイドラインと同程度以上には詳細な具体例が示されることを期待したい。

令和7年1月20日第3481号2面 掲載
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