耳を傾け誠実に対応/髙島社会保険労務士事務所 代表 髙島 訓司

2025.01.26 【社労士プラザ】
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髙島社会保険労務士事務所 代表 髙島 訓司 氏

 社会保険労務士として活動するなかで、私がとくに大切にしているのは「聴く力」である。

 たとえば、労務トラブルの相談や就業規則の見直しなどの場面では、専門的な内容を分かりやすく説明することは不可欠だが、その前提として、相手の思いを丁寧に聞き取ることが求められる。これには相手の表情や仕草、場の空気感といった非言語的な情報を捉える力も欠かせない。こうした多面的なアプローチが、言葉にされていない潜在的な悩みや問題を感じ取り、より的確な対応につながると考えている。

 もっとも、相手に共感しすぎれば、冷静な判断力を失いかねない。適切な距離感を保ちながら状況を俯瞰し、助言を行う必要がある。

 このような共感と客観性の両立に加え、聴き手であるこちらの反応も重要である。たとえば、笑顔で接することで相手も自然と笑顔になる「ミラー効果」が生まれるように、相手に安心感を与える聴き手の姿勢が肝要だと考えている。

 私が「聴く力」を培う大きな契機となったのが、過去24年に及ぶ営業経験である。経営者や事務員、現場の職人、営業担当、部下や上司、さらには飛び込みで訪問した一般の方など、多様な立場の方々と接し、それぞれの背景や考えを理解する機会に恵まれた。この経験で培った姿勢や学びは、社労士業務においても確実に活かされている。

 私は現在、一般社団法人社労士成年後見センターの理事も務めさせていただいている。成年後見という仕事は、認知症や精神障害などにより判断能力が十分でない方々の生活を支える欠かせない役割を果たすという点で、非常にやりがいのある仕事である。

 判断能力が十分でない方々に寄り添い、言葉にしづらい不安や要望を丁寧に拾い上げることが的確な支援の基盤となる。ご本人はもちろん、その家族やケアマネジャーなど、関係者すべての声を踏まえ、最適な手立てを見出す過程を通じ、人々が支え合う社会的意義を肌で感じ、さまざまな課題への対応力も培われていく。

 社労士は「ヒト・モノ・カネ・情報」のうちの「ヒト」の専門家であり、その分野の専門知識が求められるのは当然である。しかし、AIの進展が目覚ましいご時世であるからこそ、顧客の声に耳を傾け、顕在的・潜在的な課題を把握し、責任を取ることも含め、誠実な対応を行うことが重要であるように思う。この姿勢こそが、これからの社会保険労務士に求められるものではないだろうか。

髙島社会保険労務士事務所 代表 髙島 訓司【富山】

【公式webサイトはこちら】
https://sr-takashima.jp/

令和7年1月27日第3482号10面 掲載
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