【ひのみやぐら】寒さによる機械の異常に注意
2月に入り立春を迎えるものの、気温は依然として低く、体感的にも春を感じるとは言い難い。むしろ暖かくなる直前の「寒さの底」であったりする。冬季は積雪や凍結などが原因の転倒、空気の乾燥などによる火災、採暖のため換気を怠ることによる一酸化炭素中毒などいわゆる「冬季型災害」に注意が必要になる。もうすぐ春がやってくると思うと気も緩みそうになるが、もうしばらく警戒を強めたい。
本誌姉妹誌「第一線監督者のための安全衛生ノート」の元執筆者、大山喜彦さんによると1、2月の厳寒期について「物・人とも非定常状態にあり、他の時期と異なる特有の管理活動が必要」と指摘している。冬季型災害のリスクとして転倒や火災を挙げたが、寒さが原因で機械設備に異常が生じやすくなり、非定常作業となった結果、労働災害が起きやすくなるということだ。
寒冷期には、機械の潤滑油や冷却水などの凍結や詰まりで故障や不調が起きやすくなる。配管内やバルブ内が凍結してパイプが破損、緊急用の消火用水が凍結するなどのトラブルが起こるリスクが高まることを理解しておくことが肝要だ。家庭でも冬場は給湯器の調子が良くなかったり、故障しやすくなるだろう。問題が発生した場合、家庭ならば専門の業者を呼べば解決するが、事業場の機械設備は、まずは社員が確認をすることになり、安全衛生12の鍵でいうところの「異常時の措置」が重要になる。
「異常を早期に察知するために過去の事例を学び見逃さないようにする」「異常を発見した場合、作業者の対応方法を決めておく」「監督者への連絡の徹底」「異常の報告を受けた監督者などは、実施すべき対応方法を定めておき、漏らさず実行する」など異常時は早期に適切な対応方法や再発防止策を講じる必要がある。異常時の措置は季節に限った話ではないものの、冬場はとくに警戒感を強める季節であると肝に銘じたい。
ただでさえ冬は、血行の悪化から脳に血が流れにくくなり、思考力や注意力が鈍る。身体が縮こまって、ヒューマンエラーを起こしやすくなりがちだ。悪条件を見据えた対応が求められる。