【ひのみやぐら】職場の危険源に目を付ける
今号、特集Ⅰでは「おも、たか、えい、かい、だん」(重い、高い、鋭利、回転、段差)といったキーワードを設定し、作業場所に潜む危険を考える竹中工務店の活動を紹介している。現地現物で「危険源」に注意を払うことで、リスクアセスメント・危険予知(RAKY)により、労働災害の未然防止を図る取組みだ。
危険源とは、労働者や組織のステークホルダーにケガや疾病を引き起こす可能性のある根源を指す。具体的には、機械の可動部分、高所、粉じん、化学物質であったりする。
例えば、台所のまな板の上に包丁が置いてあったとしよう。包丁には鋭い刃があり、誰が見ても危険な道具であるが、台所にあるだけならばケガをすることはない。包丁を使用する人がいなければ、ケガは起きようがない。逆にいえば、包丁という危険源に、人が何らかのかかわりを持つことによって、初めて切創などのケガのリスクが生じることになる。このため災害防止を図るには、職場のなかに危険源と人がかかわる作業には、どのようなものがあるのかを洗い出す必要があるというわけだ。
一方で職場にある危険源をすべて挙げていくのは、簡単ではないといえよう。包丁は刃部分という、明らかに危険な部分が露出しているので理解しやすいが、職場には何が危ないのか分かりにくい箇所が少なくない。階段の段差、機械の突起部分、低い位置にある作業床などは、一目では危ないとは判断できず、見過ごしやすい部分といえるだろう。リスクアセスメントを実施するうえで、危険源の特定は重要だが、最も難しい作業といえる。
困難な危険源の特定を、現場で取り組みやすくしたのが竹中工務店だ。「おも、たか、えい、かい、だん」と言葉にリズムを付けて、記憶しやすいようにしたのがポイントといえる。危険源を「ある・ない」と問いかけることで、一度立ち止まって考える時間をつくり、安全行動につなげる。日常から考えて行動することで、安全に注意して作業する習慣が身に付くというわけだ。
「危険の芽を摘む」活動は、危険源の特定から始まる。