【今週の労務書】『解雇改革 日本型雇用の未来を考える』
2014.01.27
【書評】
規制の具体化は労使に
労働法学者である著者は、「解雇規制がこのままでよいとは考えていない」とし、規制緩和を唱える経済学者からの問題提起も踏まえながら、あるべき姿を模索する。肯定・否定によらず極論ばかりがクローズアップされがちなテーマだが、本書はむしろあらゆる主張・論点を俎上に載せ、慎重な検討を積み重ねていく。
提示される改革の方向性は、現状維持ではないものの、現行法制とかけ離れてもいない。無理を承知で要約すれば、就業規則で「正当な解雇」をルール化し、それ以外は無効にするというのが、基本的な枠組み。政府は法令に基づいてルール作成のガイドラインを設け、裁判所はこれにより個別ルールの適合性を判断する。具体的な規制をどうするかは、個別労使に委ねられる。
(大内伸哉著、中央経済社刊、TEL:03-3293-3381、2200円+税)
平成26年1月27日第2954号16面 掲載