【ひのみやぐら】女性の健康をサポートする
厚生労働省では毎年3月1日~8日までを「女性の健康週間」としている。女性が生涯を通じて健康に明るく、充実した日々を過ごすことを総合的に支援するために定められた週間だ。期間中は健康経営などをテーマとした記念イベントの開催が予定されている。
「令和5年版働く女性の実情」(厚生労働省)によると、令和5年の女性の労働力人口は3124万人と前年より28万人も増加しているという。女性の社会進出が進み、勤続年数の伸長、初婚・初産年齢の上昇、生涯出生数の減少、平均寿命の伸長など取り巻く状況は大きく変化し、働き方も多様になった。
これまで、企業の健康支援は、生活習慣病予防としてのメタボリックシンドローム対策など、どちらかというと男性目線の対策が中心だったといえるだろう。職場で働く女性が増加し、その活躍が一層期待される昨今、企業にとって女性の健康支援は重要課題となりつつある。
今後、女性特有の健康問題についても考慮していく必要があるが、男性と比較すると、同じ病気でもかかりやすい年代や病状、治療法などが異なる場合があることが分かっている。まずは、男性も含めて関心を高め、正しい情報を入手することが肝要といえる。
たとえば、女性の卵巣で作られる女性ホルモンは、月経や生殖にかかわる役割だけでなく、体の機能を良好に保つ働きがある。男性ホルモンは一定に分泌され、加齢によって穏やかに減少していくのに対し、女性は1カ月単位で分泌量が変動し、更年期には急激な減少、喪失がある。
こうしたホルモン分泌量の変化が心身の不調や病気のリスクとなり、ライフステージが進むにつれて健康課題が変化する。働く世代では、乳がんにかかる人が見られるようになり、更年期には、めまいやほてりなど特有の症状が出やすくなる。さらに老年期には、骨粗しょう症などで、骨折のリスクが高まる。
急速に進む少子高齢化で人材不足が深刻となるなか企業によっては、女性がすでに重要な役割を担っていることだろう。女性の健康支援は企業の発展の鍵を握る経営課題といえる。