側面からものづくり支援/社会保険労務士深川事務所 代表 深川 淳

社会保険労務士深川事務所 代表 深川 淳 氏
平成29年10月に開業社労士登録をしてから、7年が経過した。年数としては中堅に差し掛かってきたが、まだまだ未熟な自分を痛感しているところである。
私は大学卒業後、鉄鋼メーカーに就職し、約20年間勤務した。今思えばサラリーマン時代に、社労士としての心構えに通じる経験を得られたと思う。
たとえば就職直後に製鉄所の人事部門に配属された時は、バブル崩壊後の鉄鋼大不況の最中で、人事といっても仕事の大半は製造現場のベテラン社員のリストラだった。配属後最初に担当した仕事の1つとして、毎月膨大な資料を持ってハローワークに雇用調整助成金の申請に出向いた時のことは今でも鮮明に覚えている。リストラの推進担当という辛い役回りで、その時は毎日が心身ともに一杯一杯の状態だったが、後に振り返ると、非常に厳しい経営状況のなかで社員の雇用を守ることの大切さをその時に叩き込まれたように思う。
その後は、営業部門に異動し、自動車や電気機器などに使用されるコイル状の鋼材や、自動車部品やワイヤーなどに使用される特殊鋼の販売を担当した。鉄鋼のような素材産業は顧客との価格や取引量が需給や市況によって大きく乱高下することが多い。たとえば需給がタイトな局面では、お客様との価格交渉の結果、値上げをご了解いただいても、フル操業であるため、お客様が要望する必要量を提供できない、ということも多々あった。そのような時、どうすれば必要量を確保できるかについてお客様とともに作戦を練り、社内の枠の調整に臨むということがよくあった。
とくに東京圏以外の支店で営業担当をしていた時には、中小の製造業のお客様が多く、工場の機械が音を立てて動いているすぐ横で、「売る側」「買う側」という関係を超え、社長と一緒になって長時間相談や議論をしながら決めていくということをよくしていたものだ。
私の顧問先には、城南地区にある中小の製造業が多い。サラリーマンの時とは仕事内容は変わっても、製造業のお客様の「ものづくり」を側面から支援をするという意味では同じである。それが社労士としての大きなやりがいであり、アイデンティティーでもある。コロナ禍を乗り越えた各顧問先も、資材・人件費の高騰や業務効率化、次世代育成や労務管理など、今なお難しい課題に直面しているが、社労士として人事労務の面から、少しでも良い経営支援ができるよう、引き続き精進したい。
社会保険労務士深川事務所 代表 深川 淳【東京】
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