【今週の労務書】『高齢社員の人事管理』
2014.10.06
【書評】
灯台になるモデルとは
60歳定年が一般化していることを前提に、本書ではその境を越えた”高齢社員”をいかに戦力化していくべきかが考えられる。著者自ら、実務家にとって灯台の役割を果たすモデルを示せれば――と語るように、定年後のキャリアモデルを確立し、現役社員との均衡に配慮した賃金制度を設計するヒントにあふれている。
例えば賃金カーブの方向性については、職業生涯を通じて賃金と貢献度のバランスを図る従来型を踏まえつつ、高齢層においては同じ仕事を継続する「プロ型」と「補助職型」へ二極化しつつある動向を指摘。次第に賃金ダウンによる意欲面への悪影響が課題となり、成果主義化によって中高年層の後払い的要素が抑えられ、定年に伴う低下幅の短縮が進むとしている。
(今野浩一郎著、中央経済社刊、TEL:03-3293-3381、2400円+税)
平成26年10月6日第2987号16面 掲載