医療介護福祉分野に特化/社会保険労務士山田哲生事務所 代表 山田 哲生

社会保険労務士山田哲生事務所 代表
山田 哲生 氏
介護職員処遇改善加算の制度が設けられて12年が過ぎようとしている。介護福祉分野の職員の処遇を改善する目的で導入された同制度も、幾多の改定により、本来の主旨とは別に、大変複雑で手間を要するものになってしまった感がある。
近年、県の委託事業や業界団体から、処遇改善加算に関するセミナー講師の依頼をいただくようになったが、光栄に思う反面、現場担当者の苦労を考えると複雑な思いにかられる。
これは自身が長年介護業界に勤しみ、実際に同業務を担当していたことが影響している。
医療法人が母体の複合介護施設の施設長として約18年にわたり従事するなかで、労務の専門家としての社会保険労務士に興味を持ち、在職中に資格を取得したわけであるが、資格取得の主たる動機は、悩みの尽きなかった業界特有の労務管理にある。
入職前は、マスコミ系列の企業で会社員をしていたので、医療介護福祉分野における労務管理の特殊性は、それまでに経験したことがないものであった。
同分野で特有の労務管理が求められる背景には、マンパワー中心の公的保険による報酬制度ビジネスであること、さらには資格や経験、常勤換算数などの要件が求められる人員配置基準が大きく影響しているといえる。
制度として報酬の上限が決められているため、死亡や利用中止による稼働率の低下や職員の離職はすぐに収支の悪化につながるものの、安全衛生やサービスの質は担保されていなければならない。
そのような状況下で、平均利益率3%といわれる介護福祉事業所の経営を維持するためには、知識やノウハウ、関連法令改正の対応はもとより、事業所内側からの視点、つまり「働く人の意識改革」が重要になってくる。
現在、経営に苦労されている介護福祉事業所が規模を問わず全国に多数存在しており、実際に地域を超えて支援させていただいている。先駆的な介護福祉経営支援の専門家である川畑誠志氏が筆頭の「介護福祉経営支援研究会」にも参加し、全国の専門家と協力しながら、社労士の専門分野ともいえる「人事評価」「処遇改善加算」「助成金・補助金」などを中心に支援を行い、経営改善につながるよう努力をしている。
画一的なものではなく、事業所の経緯や実態に応じた就業規則の変更や評価制度の再構築を行う責任は重大だが、業界特化型の社労士としての仕事の魅力を最も感じる部分でもある。
社会保険労務士山田哲生事務所 代表 山田 哲生【香川】
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