【ひのみやぐら】脚立使用は「倒れない」場所で
今号、特集Ⅰでは積水ハウスの安全動画を紹介している。とくに脚立に起因する労働災害に警戒感を強めており、全国の職方に他人事ではなく「自分事」として捉えるよう求めているところだ。
脚立という道具は、安価で手軽に使えるためか、危険への認識の甘さがある。このため、都道府県労働局や各労働基準監督署、災害防止団体などで安全な使用を呼びかけているところだが、災害は一向に後を絶たない。
弊誌でも脚立の安全作業について、逐次、取り上げているが、好評連載中の「安全衛生眺めてみれば」で執筆者の東内一明さんが脚立作業の危険である点を示している(2024年7月1日号参照)。一部を引用すると「脚立は4本足ですが、4本足というのは、安定しているように見えますが、安定しているのは、4本足の接地する、それぞれの箇所が正確に水平であるときだけで、床が完璧に水平でなかったり、凸凹していたり、小さな小石があったりしたら、実に簡単に倒れます」とある。
脚立で作業する際は、泥のように沈んでしまう環境下や凸凹した場所では使用してはならない。床や地盤がしっかりとした平坦な場所で使わなければならないが、「大丈夫と思った」「慌てていた」という理由から、つい不安定な場所で使用してしまい、脚立ごと倒れて災害に至るケースが少なくない。安全動画でも、床面に不安定な位置で脚立を使ってバランスを崩した災害を紹介しており、「不安定になる場所では使用しない」「全ての脚を設置させる」と注意を促している。
また、先の連載には「英語のラダーは、梯子だけでなく脚立も意味するようです。そのせいか、イギリスの災害統計を見ると、脚立も梯子も同じものとして集計されています。どうも欧米人は、脚立は梯子の一種と考えているようです」とある。梯子と同じと考えると、脚立が次第に不安定な物に見えてくると東内さんは感じている。
平らな床で使用したとしていても身を乗り出してバランスを崩し、脚立ごと倒れるケースもある。脚立は、倒れやすい道具であると肝に銘じたい。