【今週の労務書】『有期雇用法制ベーシックス』
2014.10.20
【書評】
関連規定解きほぐす
いわゆる非正規問題の核心部分が「有期労働契約」。その正確な理解を促すことで誤解に基づく無用な紛争を防ぎたい――そんな思いを凝縮して編まれたのが本書。関連規定を置く民法・労基法・労契法のかかわりが解きほぐすように解説されており、間違いが許されない人事労務担当者必携の書として位置付けたい一冊である。
臨時社員の賃金について、業務内容などが同じであれば正社員の8割を下回ってはならないとして注目を集めた丸子警報器事件判決(長野地裁上田支部)から早18年。いまや、雇用期間の定めがあることを理由にした不合理な労働条件を禁止(改正労契法20条)する時代に突入しており、誤った対応が企業の存続をも危うくしかねない。本書を座右にしっかり学んでもらいたい。
(荒木尚志編著、有斐閣刊、TEL:03-3265-6811、本体1600円+税)
平成26年10月20日第2989号16面 掲載