人事労務で未来を拓く/本田社会保険労務士事務所 本田 淳也

2025.03.16 【社労士プラザ】
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本田社会保険労務士事務所 本田 淳也 氏

 企業経営を取り巻く環境が急速に変化している。人手不足、賃金上昇、物価高、法改正や異常気象への対応など、経営者はさまざまな課題に直面している。とりわけ地方においては人口減少や経済の縮小のスピードが著しく、その影響をより強く受けている状況だ。

 このような状況下で、これから10年の間に企業間の優勝劣敗が鮮明になっていく可能性がある。その分岐点として重要性を増しているのが「人事戦略」である。

 青森市に事務所を構え、日々多くの経営者と接するなかで強く感じるのは、人事戦略の必要性だ。社労士のメイン業務は労務管理であり、それはいわば「守りの要」となる。雇用・社会保険の手続き、給与計算、労働相談、就業規則の整備など、会社経営の土台となる部分を支える重要な役割を担っている。

 しかし、これからは「守り」だけでは十分とはいえない。採用戦略の立案や教育研修制度の構築、評価制度の整備など、攻めの人事戦略にも取り組んでいく必要がある。ただし、重要なのは順序だ。労務管理という守りをしっかりと固めてから、人事戦略という攻めに転じるべきである。

 とりわけ地方の中小企業では、人材や資金の制約から、大がかりな人事制度の導入は現実的ではない。そこで求められるのは、シンプルで導入しやすい改善策である。たとえば、社内コミュニケーションの活性化や、業務の棚卸しによる生産性向上、既存社員のスキルアップ支援やモチベーション向上への取組みなど、できることから着実に進めていく。このような地に足のついた取組みが、会社の競争力強化につながる。

 地方の企業には、人事労務の取組みを後回しにしてきた会社が少なくない。人材育成の仕組みづくり、研修制度の確立、採用活動の体系化、メンタルヘルスやハラスメント対策など、本来取り組むべき課題に十分な時間を割けていないのが実情だ。

 しかし、だからこそチャンスがある。取り組むべき事項が多いということは、それだけ改善の余地も大きいということだ。決して未来を悲観する必要はない。人事労務の基礎固めを着実に進めることで、確かな成長への足がかりとすることができるだろう。

 我われ社労士も、従来の労務管理の枠にとどまらず、経営者の良きパートナーとして人事戦略の面でもサポートしていく――そのような心構えを持つことが重要である。逆風に負けない強い組織づくりに向けて、企業とともに歩んでいければと考えている。

本田社会保険労務士事務所 本田 淳也【青森】

【公式webサイトはこちら】
https://sha-ro.com/

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令和7年3月17日第3489号10面 掲載
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