【主張】情報公表義務拡大へ準備

2025.03.13 【主張】
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 厚生労働省は、企業における女性活躍に向けた取組みを推進するため、企業ごとの男女間賃金差異の発生要因を分析するツールを公開した(参考記事=男女間賃金差異 要因分析ツールを作成 役職別の格差も表示 パンフで改善方法助言 厚労省)。女性活躍推進法では、従業員301人以上規模企業を対象に、男性の賃金に対する女性の賃金の割合(男女間賃金差異)を公表する義務を課しており、厚労省は現在、101人以上規模への拡大などを柱とする改正法案の提出をめざしている。新たに公表義務を課される可能性がある中小企業は、積極的にツールの活用を検討したい。

 ツールでは、従業員一人ひとりの賃金などのデータを入力することで、男女間賃金差異の現状(計算結果)を把握できる。さらに、賃金差異に影響を与える平均勤続年数や管理職数、採用労働者数といった項目の男女差なども自動で算出。それらを踏まえ、賃金差異が生じている要因の分析結果が示される。分析に当たっては同業種・同規模の平均値を比較対象とし、「女性管理職割合が低い」、「採用した労働者に占める女性割合が低い」など、企業ごとの課題が明らかになる。ツールの活用パンフレットでは、課題に応じた検討・取組みのポイントも提示している。

 ツールの活用は、一般事業主行動計画の策定が努力義務に留まり、自社の女性管理職割合などの状況をまだ把握できていないような100人以下企業にとっては、女性活躍推進に着手する際の負担の大幅な軽減につながる。また、すでに状況把握を行っている101人以上の企業にとっても、同業種・同規模に比べた自社の弱みが明確になるため、優先順位の高いものから取組みを進めやすくなる。

 厚労省の同法改正案では、行動計画の策定義務がある101人以上企業に対し、女性管理職割合の公表も義務付けるとしている。施行は令和8年4月の予定だ。女性管理職割合の向上も含め、男女間賃金差異の要因の解消には時間を要する。中小企業であっても、男女問わず必要な人材の獲得をめざすのであればなおさら、ツールの分析結果を行動計画の内容に生かすなどして、女性活躍に向けた取組みを着実に前進させたい。

令和7年3月17日第3489号2面 掲載
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