【今週の労務書】『歴史からみた労働法――主要労働立法の過去・現在・未来』
2013.02.25
【書評】
「全体感」伴った理解に
人事を任されて思い知るのは、知るべき対象範囲の広さであろう。労基法や労組法、安衛法といった基本はまず当然として、存在感を増す労働契約法や改正派遣法など、実務的に重要な法律が山積みである。
といっても、日々の仕事をこなしながらそれらを頭に叩き込む作業は容易ではなく、要領よく”勘所”をつかみたいところ。
本書は、逐条解説のような条文理解には不向きだが、立法理由やその後の改正経緯がよく分かり、時の社会情勢などとともに「全体感」を伴った理解に役立つのが特長だ。
過去を知って今後につなげる「温故知新」の発想を貫いており、取り上げた16法の今後の行方も占っているあたりは、準備に余念のない担当者を満足させる内容。
(大内伸哉著、日本法令刊、TEL:03-3249-7182、2100円+税)
平成25年2月25日第2910号16面 掲載