【今週の労務書】『基礎から学ぶ賃金・賞与・退職金の法律実務』
2013.06.03
【書評】
降格・降職人事へ助言
本書は、最新の法改正や行政通達、裁判例、著者が実際に携わったコンサルティング事例などに基づき賃金の決定や支払いの実務を解説したもの。年俸制、インセンティブ手当、固定残業代の支払い方などの項目に加えて、業績悪化、M&Aに伴う賃金の不利益変更についても取り上げている。
例えば、企業合併で役職ポストが減少し、降格・降職で賃金減額となるケースについて、賃金規定などで職制ごとの役職手当等が規定されている場合でも、その職制が実際の役職との対応が明確でないために賃金減額が無効とされた判例(石油産業新聞社事件)を紹介。職制と賃金の対応関係を賃金規定などに明確に定めておくことが望ましいとアドバイスしている。
(藤原伸吾著、経営書院刊、TEL:03-3237-1601、2800円+税)
平成25年6月3日第2923号16面 掲載