【今週の労務書】『やる気もある! 能力もある! でもどうにもならない職場 閉塞感の正体』
2013.08.26
【書評】
閉塞感蔓延の構造探る
人事・組織コンサルタントである著者は、今や働く人の4割が”職場の閉塞感”を抱えているとし、そのメカニズムを探っている。世代も立場も違う4人のエピソードを紹介し、背景に共通するのは、年功重視の組織運営が限界を迎えて生じた歪みであると結論する。自己啓発とともに「日本企業への警鐘」をテーマとした考察は、労使双方にとって示唆に富む。
個人への処方箋として自社の人事制度やルールを熟知することを薦める一方、企業には昇格、昇給などのブラックボックス化が社員の大きな不安材料になると指摘する。成果主義やダイバーシティなどが取り込まれても肝心の改革は進まず、企業と個人の関係は20年前からそれほど進化していない、と言い切る。
(草間徹著、東洋経済新報社刊、TEL:03-5605-7021、1600円+税)
平成25年8月26日第2934号16面 掲載