【今週の労務書】『人事と法の対話 新たな融合を目指して』
2013.11.25
【書評】
現状把握するガイドに
2人の著名な学者が、人材マネジメント論と労働法というそれぞれの立場から、雇用にまつわる各種のテーマを掘り下げていく対談集。時に企業担当者などのゲストを交えながら、新卒採用事情やグローバル化への対応など、時宜に適う問題が取り上げられる。
議論を戦わせるというより、互いの領域における問題点を確認していく対話は、結果として現状を正しく理解するガイドにもなっている。例えば人事管理の面では、伝統的手法からのシフトを迫られるなかで企業が何を変え、何を残そうとしているのかという本音が、生々しく浮かび上がっている。盛んに議論される労働法制の緩和を考えるうえで、踏まえておくべき諸事情が一冊で把握できる良書だ。
(守島基博、大内伸哉著、有斐閣刊、TEL:03-3264-6811、1900円+税)
平成25年11月25日第2946号16面 掲載