【主張】計画年休で着実な取得へ

2025.04.10 【主張】
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 厚生労働省はこのほど、年次有給休暇の年5日の時季指定義務の運用方法などを調べた労働時間等実態調査(令和6年実施)の結果をまとめた。年休の計画的付与制度を運用している企業では、取得を労働者に委ねて年5日を取得させている企業に比べて「年休の取り残し日数」も少ない傾向にあることが明らかになっている。時季指定義務の履行に留まらず、取得率そのものの引上げをめざす企業においては、計画年休の実施を検討してみると良いだろう。

 調査では、労働時間制度などの見直しの基礎資料とするため、時間外労働の上限規制や、年休の時季指定義務などを盛り込んだ働き方改革関連法施行後の実態を調べた。事業所調査をみると、「時季指定を行っておらず、労働者が年5日を取得できていない」との回答割合は11.6%と1割を超えている。そのほか、取得を労働者に委ねて年5日をクリアしている割合が52.0%に上り、労働者の意見を聞いたうえで使用者において5日を指定しているのが17.9%。計画年休制度を活用し、切替始めに5日分を指定しているのは11.3%と1割程度だった。

 個人に委ねて年5日を取得させている事業所においては、労働者の取り残している年休日数が「前年からの繰り越し分も含め21日以上」の事業所が13.0%に上る。それに対し、計画年休制度の実施事業所では8.2%と少ない。一方で、取り残しが10日以下の割合は、前者で計60.4%、後者では計62.3%と、計画年休が取得日数の増加につながっている実態がうかがえる。

 厚労省の令和6年就労条件総合調査によれば、時季指定義務の施行までは5割未満で推移していた年休取得率が、過去最高の65.3%まで高まった。ただ、政府が過労死等防止対策大綱で令和10年までの達成目標として掲げている「70%以上」には届いていない。取得率をさらに高めていくうえで、労働者のさまざまな取得ニーズに対応できる時間単位年休の普及や、計画年休制度のさらなる活用が期待される。

令和7年4月21日第3493号2面 掲載
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