求められる国際的感覚/きしま社労士事務所 所長 永石 伸子

2025.04.13 【社労士プラザ】
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きしま社労士事務所 所長 永石 伸子 氏

 国内で「人権」に関する意識が高まってきている。世界的な潮流である「ビジネスと人権」は、企業や社会に大きな影響を与えており、その影響は地方にも確実に押し寄せてきている。

 人権リスクの排除という意味で、企業にカスタマーハラスメント対策を義務付ける労働施策総合推進法などの改正法案を閣議決定され、今国会での成立をめざす動きとなったのも自然の流れといえよう。

 厚生労働省が令和5年度に公表した「職場のハラスメントに関する実態調査」では、ハラスメントの発生状況について、企業が過去3年間に従業員から相談があったとする割合が、パワハラの64.2%、セクハラの39.5%に続き、カスハラは27.9%だった。相談があった事例のうち、企業がハラスメントに該当すると判断した事例の割合は、カスハラは他のハラスメントよりも多い86.8%という結果が出ている。

 ハラスメント対策の法制化は、セクハラ、マタハラ、パワハラと段階的に行われてきたが、今回の法制化に向けた動きは、職場でのあらゆるハラスメントを許さないという社会における規範意識の醸成に国が取り組むということであり、とても画期的である。

 佐賀県社労士会は、今年1~3月にかけて、就職などを控えた高校3年生に対し、「働くときの基礎知識」と題して出前授業を実施した。連合会としては、2003年に学校教育の取組みとして開始している。

 佐賀県社労士会は2024年度、県内にある高校の約4分の1での実施となった。私は2校を担当したが、そのなかの1校からお礼状とともに、生徒の講座メモが数人分送られてきた。働くに当たっての心構えやルールについてポイントを押さえた内容が書かれてあり、社会に出る不安を持ちつつも会社に貢献したい、という思いがあふれた文面に深く感動した。

 出前授業を通じ、日々の業務のその先には、これから社会に出る高校生の職場環境につながるものがあると実感し、身が引き締まる思いである。

 企業のハラスメント対策、人権リスク排除の取組みについての支援は、「人材に関する専門家」である社労士の担う役割が大きいと感じている。また、昨今、労務相談として受ける内容には、人権を軸に考えなければならない問題が増えているように思う。今後、社労士として、国際的な感覚を持った対応が求められる機会に備え、日ごろの業務と国際基準との関連性を自覚しながら、日々精進してまいりたい。

きしま社労士事務所 所長 永石 伸子【佐賀】

【公式webサイトはこちら】
https://kishima-sharo.com/

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令和7年4月21日第3493号10面 掲載
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