【今週の労務書】『企業不祥事と公益通報者保護法について』
2015.04.27
【書評】
法理解に向けた資料集
企業・団体の不祥事が後を絶たないなか、発覚の端緒となっている内部通報への対応はいまだ不十分との認識に立ち、公益通報者保護法について改めて企業の留意ポイントを簡潔に解説したのが本書。
不祥事のタイプ別に様ざまな事例を掲載しているほか、通報者に解雇処分や不利益取扱いを行ったことの有効性が争われた裁判事例も紹介。
内閣府「民間事業者向けガイドライン」に沿って相談・受付窓口を設けたうえで、通報者のいい分をじっくり聞く仕組みを構築することが重要と筆者。通報事実についての調査組織は中立性を保障するため、労組役員や労働者代表を参加させることも有用とする。
企業でコンプライアンス対策を検討する際の資料集として参考になりそうだ。
(外井浩志著、とりい書房刊、TEL:03-5351-5990、1800円+税)
平成27年4月27日第3014号16面 掲載