【今週の労務書】『セクハラ・パワハラ読本 職場のハラスメントを防ぐ』
2015.05.04
【書評】
事例から”回答”学ぶ
互いの違いを正面から認め、ギャップを埋めるコミュニケーションを十分に採る――本書が薦めるエッセンスであり、ハラスメントが生じやすい時代背景を論じた前半と、関連する数々の判例を紹介した後半とでなる。予防の基準や目安は示し難いが、何をすればセクハラ・パワハラになるという回答は示せる(前半)とした部分に本書の性格が端的に表れている。
相手次第でセクハラになり、指導との境界が曖昧な点が問題解決を困難にしており、受け手の感性如何では自殺のような悲惨な結末も招きかねず、企業は対応を急ぎたい。
「では何をすれば?」と悩むのも無理はないが、本書に収めた膨大な判例を他山の石とすることは可能だ。
(君嶋護男、北浦正行共著、日本生産性本部生産性労働情報センター刊、TEL:03-3409-2508、1500円+税)
平成27年5月4日第3015号16面 掲載