【主張】コンビニへ労働法教育を
徳島労働局が、コンビニエンスストア三大チェーン本部(セブン―イレブン、ローソン、ファミリーマート)と合同して労務管理講習会を実施したという(本紙8月21日号5面既報)。
コンビニは、未だに店舗数、売上高ともに拡大が続いている。1店舗のアルバイト数20人程度とすると、オーナーの労務管理能力が問われるが、実態は初歩的な労働基準法違反が相次いでいる。インターネットを通じた告発がめだっていることを考慮しても店舗オーナーに一通りの労働法関連知識を提供する必要が高まっている。徳島のケースを参考とし、全国規模で周知活動を強化すべきである。
日本フランチャイズチェーン協会の統計では、加盟9社の昨年12月末時点のコンビニ店舗数は全国で5万4500店に達し、前年比約3%増加。売上高は年間10兆円を超え、来客数は172億人強に。
多くの若者らのアルバイト先となっていることを考えると、コンビニ店の労働実態を危惧せざるを得ない。店舗オーナー、アルバイトの双方が雇用ルールに関する知識に乏しく、事実上無法状態となっている可能性がある。
コンビニ店舗で発覚した違反事例をみても明らかだ。女子高生を含むアルバイト店員5人に対して、欠勤による罰金として1万円を徴収していた店舗があった。罰金徴収について書類に署名させていたという。また、別の店舗では、風邪による欠勤に対しペナルティーとして9000円余りをバイト代から差し引いていた。レジ打ちで合わない代金を支払わせていたり、休憩や年次有給休暇を与えない、働いた日数の賃金を支払わないなど、ひどい状態にある。
近年では、店舗オーナー側も憂慮すべき現象が生起している。徳島労働局の指摘ではインターネット上の書き込みによる法違反の告発が広がっているという。口コミでブラックイメージが拡大するようなことになれば、採用難、売上減につながりかねない。
率先すべきは、チェーン本部である。社会問題化する前にコンビニ店舗オーナーに対する労働法教育を積極化すべきである。