労働法令教育の意義実感/たかおか社労士事務所 代表 長 美津子
ご縁があって、社会人講話の講師を担当させていただいた。対象は厚生労働省の求職者支援訓練を受講中の方々で、年齢層も20歳代から50歳代までと幅広い。
さて、日頃、社会保険労務士として、お客さまや友人等から社会保険や年金、賃金等について質問をいただき、驚かされることがしばしばある。「60歳で退職すると、失業保険はもらえないのだってね」、「遺族年金は65歳になるとなくなるって、周りから聞いているけど」など。インターネットをはじめメディアがこれだけ発達したというのに、まだまだ間違った情報が流れ、経験豊富な社会人もそれらをうのみにしている。
こうしたことから、講話の中では、労働条件通知書の内容など最低限知っておいていただきたいことを、実例等も交えてお話しすることとした。
世の中に出れば、ほとんどの人は労働者か事業主のいずれかになる。労働関係法令は、私たちにとって最も身近な法律の一つである。それにもかかわらず、周知されていないし、知る機会も少ないようである。私は、行政機関の総合労働相談にも携わっているが、労働トラブルの多くは、労働者、使用者のいずれか、または双方の労働関係法令の知識不足によると感じている。
意外なことに、講話の中で受講生の方々の興味を一番惹いたのは、最低賃金制度についてであった。「最低賃金があること自体知らなかった」、「都道府県ごとに金額が違うことや定期的に改定されていることを知らなかった」など、これも正直なところ驚きであった。早速ネットで調べて、どこの県が一番高い、千葉県は何番目だ、などと、ちょっとした盛り上がりようである。このようなことをきっかけに関心を持ってもらえれば、うれしい限りである。
もっと早い段階で、できれば教育の一環として、労働関係法令の知識を伝えることが必要ではないだろうか。そうした意味から、近年、都道府県社会保険労務士会が教育機関と連携して進めている学校への出前講習は、とても意義のあることと改めて感じた次第である。私たち社会保険労務士が皆さまのお役に立てる機会は、たくさんあると思う。
たかおか社労士事務所 代表 長 美津子【千葉】
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