心の健康対策 管理職を重点支援/稲田社労士事務所東京管理協会 稲田 耕平
近年、企業では個々の従業員に成果を求める人事制度が増加している。そのような状況下、従業員が持つ能力を最大限の成果につなげるには、健康状態が良好であることが欠かせない。
弊所のクライアントにおいても、メンタルヘルス疾患が急増しており、健康保険の給付手続きや障害年金の裁定請求を行っているほか、休職や復職制度に関する相談も少なくない。とくに中小企業では、休職者1人の存在が収益の低下と費用の増加につながるうえ、他の従業員にも心理的負荷を与え、第二第三の休職者が生じる恐れも出てくる。
「私傷病」としてのメンタルヘルス疾患による労務の不提供が長期間にわたれば、労働契約の解除に関するトラブルの火種となる。また、「業務上災害」と認定されれば給付は労災保険で補償されるが、「使用者による安全配慮義務」違反として、損害賠償請求の対象とされるリスクが高まる。
弊所は、企業側の視点から、就業規則の見直しによる労使紛争の予防と紛争解決に向けた対応策や、従業員のメンタルヘルス管理がいかに企業防衛になるかを懇切丁寧に説明している。
経営資源である「ヒト」に関する専門家として、メンタルヘルス疾患の予防に関する業務も重要と考えている。一般的に、「ストレス・脆弱性(耐性)・対処技能(気分転換)」の3つの相互関係の下で発症するといわれるが、ストレスが掛かったとしても対処技能が優れていれば、発症する割合は低下する。したがって、上司と部下の縦の関係や、同僚同士の横の関係における円滑な職場内コミュニケーションが求められる。
メンタルヘルス疾患は、早期発見・早期対応が重要であり、そのキーマンは「管理職」である。管理職が自らの心身の健康を損なっていては、大きな役割を十分に果たせない。そこで、社会保険労務士として、管理職に対するセルフケアとラインケアの研修会やセミナーの講師役となって「安心して働きやすい職場作り」のお手伝いをし、「労使間の潤滑油」として貢献していかなければならないと考える。幅広い視野での知識とバランス感覚を磨き、インプットした知識をより有機的にアウトプットしていければと、日々考えながら業務を行っている。
稲田社労士事務所東京管理協会 稲田 耕平【東京】
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