運送業の業務改善に特化/社会保険労務士事務所オフィスきよみ 石原 清美
社会保険労務士事務所オフィスきよみを開設して8年の月日が過ぎた。
私は、以前、運送会社で四半世紀以上勤務し、「労働基準法の時間≒賃金」がこの業界では成り立ち難いことを思い知り、その在籍中に社労士の資格も取得した。そして、労働関係の知識を得たことでこの業界に恩返ししたいと、長年お世話になった運輸会社の社長にお願いして独立開業の道を歩むこととなった。
開業以来、運送業界出身の運送業に特化した社労士として経営者に業務改善の提案をしている。内容は運送業の労務管理や車両に関する運輸関連の相談業務がほとんどで、運送業を顧問に持つ社労士からの質問も多い。
確かに、この業種の自動車運転者の時間管理は特殊で、「改善基準告示」が適用されるため独特な管理が必要となる。そして、長距離輸送では拘束時間の管理がし難く、長時間労働となる場合も多い。最近では、社長宛てに弁護士から賃金未払い通知が送られたという話をよく耳にする。
さらに業務の性質上、就業規則にも改善基準告示の時間を記載し、服務・賞罰規定もその事業所独自のものを作成する。歩合制の賃金も一概に違法とはいえないが、加えて完全償却制や距離制での賃金支払いも見受けられるので、時間との関係を見据えながらの見直しをしなければならない。
また、昨年から国土交通省で悪質・重大な法違反の処分が厳格化され、事業停止30日間の処分強化となった。もし処分を受ければ事業の存続が危ぶまれ、さらに改善がなければ許可の取消しになり得る。社長には労務管理等の助言の一方、運送会社の要となる運行管理者の業務内容もアドバイスさせていただいている。
このように専門特化した業務を行っているが、しかしながら仕事の原点は日常の「あいさつ」にある。運行管理者と運転者とのコミュニケーションをできる限り取ることで、職場全体の健康管理や職場環境の改善につながっていくと考える。
経営者からいただく「ありがとう」という言葉の積み重ねで、今日の私があると思っている。感謝の気持ちとともに、厳しい経済情勢のなか頑張っておられる運送業の全ての社長に心からエールを送りたい。
社会保険労務士事務所オフィスきよみ 石原 清美【大阪】
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