人材会社の法令順守徹底へ/社会保険労務士平澤事務所 代表 平澤 賢一
東京労働局発表の「平成25年度労働者派遣事業および職業紹介事業の指導監督状況」では、二重派遣や偽装請負、日雇派遣、期間制限違反に加え、労働者派遣契約の記載不備やシフト表の不備、派遣料金額の明示の不備といった事務的分野における指導監督も重点的に行われていることが読み取れる。ここ数年来、派遣会社には厳格な法令主旨に基づいた緻密なオペレーションが一層求められていることの裏付けである。行政指導を受けた派遣会社の中には、適正な事業運営を志すも、会社として法令知識の習得と、それを的確にオペレーションに反映させるための態勢やノウハウが形成できないがために行政指導に至ってしまったケースもあるのではなかろうか。
私は10年以上にわたり、大手人材サービス企業で営業担当、コンプライアンス担当、人事担当を歴任してきた。コンプライアンス担当時代、主に営業担当からの労務相談や行政対応、社員研修、社内オペレーション構築、監査等を担っていたが、「専門26業務適正化プラン」や、派遣先への指導監督強化の流れを受けて、派遣先企業から、派遣法セミナーや派遣業務適正化に向けたコンサルティングの依頼をいただくようになり、主業務の一つとなった。グループ企業の派遣会社がコンプライアンス実務のノウハウがなく困っているのでコンサルティングしてもらえないか、といった相談もいただいたが、競合他社ということもありお断りせざるを得なかった。
人様の雇用に深く関わり、また、許可事業として人材ビジネスを展開している以上、コンプライアンスの重要性に企業規模は関係ない。しかし、一部の大手派遣会社は専門のコンプライアンス担当社員を擁するが、多くの会社はそうはいかないのが実情である。
こうした環境と経験が、現在の私を形成した。現在は開業社会保険労務士として、人材サービス企業向けに、人材ビジネスに必要不可欠なコンプライアンス実務に関するコンサルティングを行っている。人材サービス業の最前線で長年にわたって培ったノウハウを活かし、人材ビジネス企業における無二のビジネスパートナーとして、安定的かつ健全な企業成長に貢献できたら幸いである。
社会保険労務士事務所エンプロイメントコンサルティング 代表 平澤 賢一【東京】
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※タイトルの社名は連載時のものです。