生産性高まる女性支援を/中央経営社労士事務所 所長 中村 敏江
政府は女性の就労拡大を成長戦略に掲げている。そこで、政府が女性の就業の妨げとなる制度の見直しを進めていくなかでの論点としているのが、「配偶者控除」と「配偶者手当」である。
配偶者手当については、公務員から見直しが始まり、配偶者控除の見直しについては、11月7日、政府税制調査会において3案が示された。第1に「配偶者控除の廃止」、第2に「配偶者控除に代えて、配偶者の収入に関係なく夫婦2人に一定の控除枠が適用できるようにする(移転的基礎控除)の導入」、第3に「夫婦世帯に対し、配偶者の収入にかかわらず適用される新たな控除の創設」である。
今回の見直しは、人手不足に悩んでいる会社の多くが歓迎している一方、女性のなかには不安に思っている人もいる。それぞれの事情により、家庭にいる時間を確保したい女性は少なくない。「103万円の壁」や「130万円の壁」が長時間労働を防いできた一面がある。
反対に、世の中には働きたい女性がたくさんいて、活躍の場を求めている。しかしながら、育児休業が制度化されているにもかかわらず、第1子出産時の離職率が約6割に及ぶといわれている。子育て世代の女性は、就業できない最大の要因として仕事と育児の両立ができないことを挙げている。
そこで、子育て支援の拡充が必要とされている。まずは、保育所と学童保育の受け皿拡大が急がれる。ここで置き去りにしてはいけないことは、保育所に入所できたとしても、子供が病気にかかった時に預けられないことである。家族の支援が受けられない場合は、病児保育・病後児保育施設またはこれに代わるベビーシッター会社を探すしかない。だが、高額な費用は家計の負担となるため、休む選択をせざるを得ないのである。このようなことから、若い女性の就労拡大のためには、安心して働ける保育ニーズに応えていく必要がある。
今回の見直し案は、子育て支援を加味して検討されている。企業においても、せっかく育てたキャリアの損失は痛手である。社会全体の生産性が高まるような支援を期待する。
中央経営社労士事務所 所長 中村 敏江【東京】
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