社労士の歴史伝承を/藤井社会保険労務士事務所 藤井 悦子
社会保険労務士制度の生みの親、中西實先生がお亡くなりになった。全国社会保険労務士会連合会名誉会長として「月刊社労士」に「天声私語」を執筆されており、その歴史を読み続けたり、先生と一緒に世界の国々の労働事情を学びながら旅をしたことが頭をかけめぐる。
若い社労士の人たちには、社労士の制度、沿革と歴史を学んでいただきたい。私たちの職業分野が、今あることへの感謝を忘れてはならない。社労士の先輩は、「その道の歴史を学ばぬ者は、その道の真の指導者にはなれない」と言われた。まったくそのとおりだろう。
私は、社労士業務を遂行するなかで、自分らしく、輝く人生を送りたいと考え、学び続けて今年で41年を迎える。時折、「社労士とは?」と自分に問いかけている。
社労士として日々業務を進めながら、私はどのような時にやりがいを感じているだろうか、また、充実感を味わっているのだろうか。そして思う。私が一身を顧みずに奉仕する熱意、それに伴う行動力があるとき、充実感を味わえるのである。
社労士としての深き哲学を持っているか。受託先の本当の幸せを願っているか。
私は、社労士として難を乗り越えていける勇気を持たなければ、人生を楽しめないことを体験済みである。社労士としての包容力を持ち、大きな心で皆に安心を与えられたとき、自分自身も幸せである。
とかくトラブルの多い現代社会、和解の窓へと変わる”ADR”が重要性を増している。私の調停委員・司法委員としての任期は終わったが、退任後もJ判事の次の言葉が心に残っている。円満解決のために「愛と情熱を持って、忍耐強く当事者のために努力する姿勢は必ず当事者に通じる」。この言葉は本当だ。不成立はほとんどない。
私は、今も特定社労士として「和解の窓」役を続けている。
ゲーテの言葉「いつかは終局に達するという生き方ではダメだ。その一歩一歩に幸福を感じるという生き方の中に真の心の宝はある」が胸を打つ。心の宝を積みたいものだ。
社労士として活動しているなかで幸せを実感できる。次の時代を担う若い社労士の方々に、社労士としての素晴しい歴史を綴っていってほしいと願う。
藤井社会保険労務士事務所 藤井 悦子【滋賀】
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