「困っている側」の立場で/社会保険労務士法人アンカー 代表社員 山本 亨

2013.04.15 【社労士プラザ】
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社会保険労務士法人アンカー 代表社員
山本 亨 氏

 ある方から「あなたは労働者側の社労士なのか?使用者側の社労士なのか?」と聞かれて困ったことがある。

 開業前は企業の人事部門に在籍し、経営層や管理職のほか、一般社員からも相談を受けていた。「使用者側」として労働組合と労使交渉の場に立ち会うこともあったが、労働組合からの相談も受けていた。だから、開業しても「労働者側だ」「使用者側だ」という意識で仕事をしたことがなかったのである。

 社労士といえば、圧倒的に「使用者側の立場」で仕事をしている人が多いと思う。私も顧問先の社長から様ざまな相談を受ける。問題社員を解雇したいとの依頼を受けて、「使用者側の立場」で解雇の手伝いをしたこともある。一方で、若年者就業支援機関にて求職者向けにセミナー講師を引き受けて、「労働者側の立場」で会社に対して気をつけないといけないことを話したりもする。

 この前は馴染みの散髪屋で働くおじさんと話していたら、61歳でまだ年金を請求していないとの話を聞き、年金請求をしてはどうかとの話になった。こんな話は「労働者側の立場」なのかな?と思う。

 今の自分の状況は、困っている人がいれば助けたいと思うので、「労働者側」とか「使用者側」ではなく、強いて言うならば「困っている側社労士」と言えるのではないか。「労働者側、使用者側」の話をある弁護士としていたら、「労働者側なのか使用者側なのかを議論するのは馬鹿げている。どちらに付くのかは法を拠り所にしてそのときそのときの判断で決めれば良いことである。法に反してまでその側に付くのはおかしい」と言われて、非常に納得できた。

 私は労働者が人事労務に関する知識を身に付けることで、使用者に間違っていることは間違っていると正しく伝え、使用者はそれを受け止め、きちんとした会社経営を行うことで会社が良くなっていけばいいと思っている。労働者も一方的に権利を主張するのではなく、労働者としての義務を果たして、双方が切磋琢磨すれば、労使のトラブルは防げるはずである。

 私は「困っている側社労士」として、双方の話に耳を傾け、より良い会社づくりと社会の発展に貢献できるように頑張っていきたい。

社会保険労務士法人アンカー 代表社員 山本 亨【長野】

【公式webサイトはこちら】
http://www.anchor-sr.jp/

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    平成25年4月15日第2917号10面 掲載
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