【主張】シルバーセンター活用へ
改正高年齢者雇用安定法に基づく要件緩和により、シルバー人材センターの活用が広がっているという(本紙8月21日号1面に既報)。厳しい人手不足に陥っている地域の中小零細企業にとって、必要なときに低コストで利用できる熟練人材の紹介拠点と位置付けることができ、存在価値の見直しを勧めたい。厚生労働省は、高齢社会の深化に合わせてさらに規制緩和を図りもっと利用しやすい仕組みに改めるべきである。
シルバー人材センターといえば、企業から引退した高齢者が働くことを通じて生きがいを得ながら地域社会に貢献するという目的で設置・運営されてきた。どちらかといえば、福祉的意味合いが強く、したがって「臨時的かつ短期的または軽易な業務」に限って認められてきた。具体的には月10日程度または週20時間以下が基本である。
しかし近年、地域における高齢者活用拡大に向けた選択肢として見直されてきた。改正高齢法では、派遣と職業紹介に限り週20時間以下という就労制限を緩和(特例措置)し、週40時間まで提供できる仕組みへ改めたのである。本紙報道によれば、この特例措置の適用地域が今年6月時点で全国26地域に上っているというが、実施後1年余り経過した段階としては今一歩広がりが鈍いといえよう。
理由として指摘できるのは、要件緩和の条件として、あらかじめ地域の関係業者などから意見を聴取し、その上で都道府県知事と厚労大臣と協議の上、対象となる業種・職種を指定する制度となっていることだ。適用就労形態も派遣と職業紹介だけで、使い勝手が悪い。
たしかに、地域の派遣業者や職業紹介業者の事業圧迫に配慮する必要があるが、就労制限が厳しくしかも手続きに時間が掛かるようでは広がりが乏しくなる。人手不足が深刻化している中小零細企業での就労を積極化させるためにも、継続的な要件緩和を望みたい。
シルバー人材センターの会員数は、全国で72万人余り、契約金額は3000億円に上っており、有効活用策の検討が有益と考えられる。