外国人材の「非常識」に期待/尾花社会保険労務士事務所 尾花 正生
二十歳代の終わりに未経験の社労士業界へ飛び込み、アッという間に開業10年目を迎えた。今思えば無謀であったが、当時は社労士を天職にしたいという気持ちでやる気に溢れていた。しかし、世の中はやはり甘くなく数々の苦労を経験したが、良いビジネス仲間に出会い、「一緒に成長しましょう」という顧客に恵まれ、そして諸先輩の尽力による業界の認知度向上に後押しされ、仕事に追われる立場となってからは時間を忘れて駆け抜けている感じである。
税理士の先生から聞いた話だが、起業10年以内に残念ながら廃業してしまう企業が半数以上はあるそうだ。業種や地域により差はあるのだろうが、個人的には不思議と実感が湧かない。弊所では、弊所と同時期に数人で起業した顧問先が多いのだが、同じように10年前後を迎え、数十人から数百人までの従業員規模に成長した企業が多い。私見だが、社労士と接点を持つ企業は、従業員を特に大切にする傾向が強く、労務の課題改善の優先順位が高い。「企業は人なり」の言葉どおり、従業員を大切に育て、良い人材が集まる企業にするために努力を惜しまない。そのような企業を顧問先とする社労士は、必然的に長いお付き合いができるのだろう。
さてここ数年はグローバル人材の育成が叫ばれ、語学の資格取得支援や若手の海外派遣などが増えている。国も外国人の受入要件の緩和や留学生30万人計画などを推進しており、国内の外国人雇用も増加している。海外進出とは無関係の企業でも雇用のグローバル対応が求められるようになり、外国人雇用に苦労している。多くの経営者から、「外国人にあうんの呼吸を求めてはいけない」と聞く。これは、曖昧な表現を好み、器用な日本人特有のコミュニケーション技術であって、世界レベルでは特殊であると考えるべきなのだろう。
少子化の進展により若年労働者が不足する中、優秀な人材を求めるならば、ここは日本という固定観念は捨て、外国人に合わせた対処も必要になるだろう。外国人のハングリーな姿勢には見習うところもあり、社内に良い意味での非常識を持ち込んでくれるので、多くの企業が国籍を越えた採用を検討しても良いのではないだろうか。
尾花社会保険労務士事務所 尾花 正生【東京】
【公式webサイトはこちら】
http://www.roumu-enter.com/