【人材ビジネス交差点】「成功報酬型」広告に注目/㈱ヒビコレ 代表取締役 稲留 達人
求人広告業界に今、激震が走っている。求人広告の課金ポイントが、より成果を求める方向へと移りつつあるからである。
従来、求人広告の課金ポイントは求人広告を掲載する時点であったが、近年は求人広告を無料掲載し応募者から実際に採用者が出た時点ではじめて課金される、いわゆる「成功報酬型」の求人広告モデルが登場し、新規参入するベンチャー企業を中心にトレンドになっている。価格面は従来の「掲載課金型」求人広告と同水準であり、かつ採用者年収の15~30%の報酬がかかる人材紹介と比較すると格段に安い。安価な「求人広告」と成功報酬型の「人材紹介」のいいとこ取りモデルであるといえるため、求人企業が注目するのも当然である。弊社も2008年に、この「成功報酬型」モデルにて、社会保険労務士に特化した求人広告媒体「ヒビコレジョブ!社労士」で新規参入している。
求人広告媒体にとって「成功報酬型」は、求人広告を無料掲載して応募者が出ても、採用者が決まらない限り報酬が発生しないため、リスクが大きい。しかし、新規参入媒体にとっては、求人企業を惹きつける非常にインパクトのあるモデルであり、かつ反応率も高く、初期の販促活動がしやすいというメリットがある。また、応募者が少なく採用者が出なくても課金されないので、クレームにつながりにくい。そのため、媒体力に乏しい新規参入媒体がこのモデルを採用するケースが多いのである。
06年に初めて「成功報酬型」求人広告サービスを始め、IT技術を駆使し、11年に株式上場を果たしたベンチャー企業がある。㈱リブセンスだ。社長の村上太一氏は、史上最年少の25歳と1カ月で株式上場を果たした若き経営者として話題になった。求人広告業界を皮切りに、不動産業界や中古車業界にもこの「成功報酬型」モデルを持ち込み、各業界で旋風を巻き起こしている。
老舗の大手求人広告媒体は圧倒的な認知度や安定感があり、まだまだ「掲載課金型」モデルを採用しているが、より成果が求められる傾向のなかで、いつまでも高みの見物というわけにはいかないであろう。求人広告業界は今まさに戦国時代なのである。
筆者:㈱ヒビコレ 代表取締役 稲留 達人